DeepAge Sensor、稼働中の検査モデルを追加データで更新し続けられる多段ファインチューニングに対応
株式会社Spotは、AI外観検査プラットフォーム「DeepAge Sensor」に多段ファインチューニング機能を追加し、本日より提供を開始しました。ファインチューニングで作成したモデルを、次のファインチューニングの元モデルとして指定できるようになり、導入後に現場で集まった画像を使って、モデルを積み重ねる形で更新できます。あわせて、教師なし異常検知の検証ツール「Sensor AD」に、判定しきい値を選ぶためのスコアグラフを追加しました。
機能追加の背景
AI外観検査は、モデルを作った時点では終わりません。当社が2018年から製造現場に検査装置を提供してきた中で、導入後に繰り返し起きることが3つあります。
1つ目は、不良の出方が変わることです。 工程改善によって以前の不良が出なくなる一方、材料ロットの変更や治具の交換をきっかけに、それまで無かった見え方の不良が現れます。照明の経年劣化やカメラの再調整でも画像は変わります。導入時に用意した画像だけで、その後ずっと同じ精度が出続けるわけではありません。
2つ目は、更新のたびに最初からやり直すコストです。 追加の画像が100枚集まったからといって、最初の数千枚と混ぜてゼロから学習し直すのは、時間の面でも、過去データを保管し続ける手間の面でも現実的ではありません。「増えた分だけを足す」形で更新できることが必要です。
3つ目は、判定しきい値を決める根拠が属人的になりやすいことです。 良品と不良品のスコアがどう分布しているかを見ずに値を決めると、過検出と見逃しのどちらに寄っているのかが分かりません。この判断は、現場で実際の画像を見ている方が行うのが最も確実です。
今回の機能追加は、この3点に対応するものです。
多段ファインチューニング
完了したモデルを、そのまま次の元モデルに指定できる
従来のファインチューニングは、新規に学習したモデルを元モデルとする1回限りの追加学習でした。今回の更新により、ファインチューニングで作成したモデル自体を、次のファインチューニングの元モデルとして選択できます。
追加で集まった画像だけをアップロードすれば、それまでの学習結果の上に追加学習が行われます。ゼロから学習をやり直す場合と比べて、少ない追加データ・短い時間でモデルを更新できます。現場でデータが増えるたびに更新を重ねていく運用が、画面上の操作だけで完結します。
世代と系譜を一覧で追える
モデルを積み重ねていくと、「今使っているモデルは、どのモデルから派生したものか」が分からなくなります。本機能では、ファインチューニングの依頼一覧に世代と系譜を表示します。
系譜は モデルA ▸ FT#12 ▸ FT#31 の形で、元となった新規依頼から現在のモデルまでの派生経路を示します。元モデルの選択画面にも同じ系譜が表示されるため、複数のモデルを並行して育てている場合でも、意図した系統に追加学習をかけられます。
積み重ねの範囲
同一の系譜で積み重ねられるファインチューニングは、最大5回までです。上限に達したモデルを元モデルに選んだ場合は、画面上でその旨を表示します。さらに更新を続ける場合は、蓄積した画像で新規に学習し、そこから新しい系譜を始めていただく形になります。
判定しきい値を選ぶためのスコアグラフ(Sensor AD v1.1.2)
教師なし異常検知の検証ツール「Sensor AD」を v1.1.2 に更新し、推論結果のスコアグラフを追加しました。Sensor ADは、学習済みモデルをお客様のPC上で実行して判定を確認するためのスタンドアロンツールです(GPU不要・ネットワーク通信なし)。
スコア分布と候補しきい値を重ねて確認できる
推論を実行すると、画像ごとの異常スコアを良品(青)と不良品(オレンジ)で色分けした散布図が表示されます。ここに、実行時に使用したしきい値、統計的に最良の値、および任意に入力した候補値を線として重ねられます。凡例には良品・不良品の件数と、良品側の最大値・不良品側の最小値・中央値を表示します。
良品と不良品のスコアが重なっていて明確な分離線が引けない場合は、その旨を注記します。「どこで切っても過検出か見逃しのどちらかが出る」状態を、値を決める前に把握できます。
画像として書き出して共有できる
グラフは拡大表示に対応し、PNG画像として書き出せます。しきい値の根拠を、報告資料やメールにそのまま添付する形で社内共有していただけます。決めた値は、検査装置側のソフトウェアに設定する判定しきい値へ転記してご利用ください。
対応範囲
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 多段ファインチューニングの対象 | 教師あり学習(分類)・教師あり学習(回帰) |
| 積み重ねの上限 | 同一系譜で最大5回 |
| 元モデルの条件 | 学習が完了しており、学習データの保持期間内であること |
| 教師なし異常検知 | ファインチューニングの対象外(従来どおり) |
| Sensor AD | v1.1.2(Windows版 / Mac版)。ご利用中のお客様は管理画面のツール一覧からダウンロードいただけます |
今後の展望
当社は2018年からAI外観検査を製造現場に提供し、累計100台超の検査装置に搭載されてきました。導入時の「不良品サンプルが集まらない」という制約については、良品画像だけで学習する教師なし異常検知と、装置組込み用の推論ライブラリによって対応を進めてきました。
今回の機能追加は、その次に来る「導入後にモデルをどう維持するか」に向けたものです。引き続き、AIエンジニアを社内に持たない製造現場でも、検査モデルを自社で育て続けられる形での提供を進めてまいります。
DeepAge Sensor について
画像をアップロードするだけでAI検査モデルを学習し、検査用DLLとして既存システムに組み込めるAI外観検査プラットフォームです。
- 不良品画像0枚から始められる — 教師なし異常検知に対応し、良品画像だけで「正常の基準」を学習します
- 既存の検査装置に組み込める — 検査用DLL(Windows / UNIX)として提供。専用ハードウェアを必要としません
- 2018年から製造現場で稼働 — 試験導入ではなく量産ラインでの運用実績です。累計100台超の検査装置に搭載されています
学習時のみクラウドへ画像をアップロードし、運用中の検査は現場で完結するため、検査画像が工場の外に出ることはありません。
問い合わせ先
株式会社Spot
- 資料請求:https://sensor.deepage.net/documents
- 電話:050-3196-8077(受付時間:10:00~19:00 土日祝日を除く)
- メール:info@spot-corp.com

